日本人が今知るべき「アジアの真実」

――「アジア」という地域に限定したのはなぜですか。
日本はアジアの一員であるにも関わらず、アジアの情報はあまり入ってきません。見る機会が多いドキュメンタリーも欧米のものばかりです。私たちは、もっとアジアを知るべきではと考えています。例えば、日本が先進国だと思っているのは日本人だけで、いつのまにかアジアのエリートは日本を目指さなくなっていますが、そういったことさえも多くの日本人が気づいていないのです。
私たちが目指しているのは相互理解。アジアはいろんな国や民族がいて、欧州よりも複雑ですが、文化圏が近いことで相通ずるものがあるはずです。共感しつつ相互理解を深めていかないと、日本は孤立してしまうのではないでしょうか。また政治的な分断によってアジア諸国の緊張が高まっています。アジア各国のことを考えながら、私たち日本がどう役に立っていけるかを考えていかねばならない時代です。相手を知ることで、相手の強みを日本のために活かすこともできるのです。アジアはものすごいスピードで変化しています。その変化を身近に感じられる場所をつくりたいと思っています。
――アジアンドキュメンタリーズの作品一つで、その国の国民性まで感じられますね。
ニュースではその瞬間、その事件のことだけを1分ぐらいで伝えるため、どうしても断片的にしか知ることができません。例えば、ミャンマーのクーデターも、なぜミャンマーであんなことが起きるのか、ニュースでは事件の背景までは語られませんが、ドキュメンタリーで観ると大きな流れもわかります。さらに、ドキュメンタリーの大切なところは「日常」を描いているという点です。日常はニュースにはなりませんが、そこに人間の営みがあり、社会の価値観が生まれるのです。その国や民族に育まれてきた価値観を知るためには、ドキュメンタリーを観て、彼らの日常に触れることで、理解を深めることができるのです。
――日本で暮らす外国人も多くなりました。
先月までベトナムで働いていた人が、今は日本で働いているといったことも珍しくありません。テレビ業界では、重労働といわれるアシスタントディレクターに外国人がいます。日常の中に、自分が知らない国から来た人々がいるのです。その人たちがどういう価値観を持っているのかを知ることはとても大切です。誤った認識だと、誤解されたり、信頼関係を損なってしまったりすることもありますから。