US-SAIJO 古谷博史さん

逆境をビジネスチャンスに変える

インタビュー・文=堀行丈治(ぶるぼん企画室)、
写真=吉田依未(cache-cache coucou)

広島県東広島市でオリジナルユニフォームを製作しているUS-SAIJO。モータースポーツファンに愛用されているピットシャツをはじめ、スポーツチームのユニフォームや企業・店舗の制服、イベントグッズ製作、学生服販売など、さまざまな事業を展開している。新型コロナウイルスの感染拡大により世界経済が後退していく中でも、既存の経営資源を生かした新たな事業に乗り出した。
窮地をビジネスチャンスに転換する経営者は何を見ているのか。社長の古谷博史さんに話を聞いた。

「こんなはずでは……」の失敗から学んだこと

――オリジナルユニフォーム製作で起業した理由を聞かせてください

2006年のオープン時は、オリジナルユニフォームの他にアメリカンカジュアル衣料も取り扱っていました。会社員時代に作業服店を任されていたとき、米国で買い付けした衣料を販売して、売り上げを3倍にまで増やしたんです。並行して、オリジナルプリントで付加価値を付けたユニフォームの販売も手掛けて、手ごたえを感じていました。その経験を生かして、アメカジとオリジナルユニフォームを融合したスタイルで創業しました。

――オープン当初経験で、今に生きていることがありますか

当時は売り上げのほとんどがアメカジでした。サラリーマンだった頃は会社の信用の下、会社のお金で仕入れて、自由に営業活動をさせてもらっていました。しかし会社を辞めてしまうと、自己資金で商売をしなければなりません。僕は「仕入れたら売れる」と思っていて、資金繰りの計画ができていなかったんです。例えば……100万円で仕入れて、100万円を売り上げても、50万円分の商品が在庫として残る。どんどんお金を使って仕入れたものの、利益になるはずのものが在庫になってしまいました。在庫で飯は食えませんからね。しまった、こんなはずではなかったと思いました。

――その窮地をどうやって乗り越えたのですか

その失敗にこそ価値があったんですよ。運転資金を持っていない者は、在庫を持つ商売ができないということが分かったんです。ではどうやって売り上げを作っていくのか。それがアメカジをやめてオーダーユニフォームの営業に変わるきっかけになりました。オーダーは、注文を受けたものを仕入れて、付加価値をつける。仕入れたものは確実に売れます。そこに活路がありました。

誰も受けない仕事にチャンスがある